この数年で大きくシェアを伸ばしているリチウムタイプの車載バッテリー。
軽量小型の上に車両の金属部分を腐食させる様なガスも出ないドライタイプの為、旧車にも向いています。
さて、これを使用時に注意せねばならないのは運転中の充電状態です。
車載バッテリーにかかる電圧は、電力を発生するジェネレーターの状態やそれを制御するレギュレータ―の性能も大きく作用するのですが、リチウムバッテリーを使用するにあたって許容されるバッテリー電圧範囲は、旧来の液入りバッテリーに比較するとストライクゾーンが厳格に定められていると言う事を憶えておいて下さい。
これは市場では代表的なリチウムバッテリーSHORAI製です。まず、保管されている状態の電圧を測定すると12.81Vで、これが液入りタイプであればかなり良好な電圧ですが、リチウムバッテリーの場合、若干容量が減っていても電圧は割と高めに維持出来ますので、これ位の電圧でも内部容量は若干少なくなっている事があり、実際このバッテリーでは始動に差し支えは無い程度ではありますが、割と残容量は下がっています。
これに、試験用の直流電源で充電を行います。
ちなみに左側のAと書いてあるメーターがバッテリーに流れ込んでいる電流の値です。
接続して12.84v程度では全く針は振れませんのでこの状態では充電はされていない事になります。
これが13Vを僅かに超える程度になると、序々に針が振れ始め、充電が開始されます。
13.33から13.49Vと、電圧が高まるに従って流れ込む電流値は高くなり、完全に充電状態になりました。
これ位に電圧が上がれば、まず走行していてバッテリーが上がる事はありません。
但し、上記の様に13Vを切っている状態では、リチウムバッテリーの場合は内部容量にもよりますが殆ど充電状態にはなりませんので注意が必要です。
Z系時代の旧車でも、ジェネレーターやレギュレータ―が正常であれば、走行中に13Vを割って走り続ける様な事はありませんが、それらが消耗して13V 以下の状態が大半を占める様ですとバッテリーに電力が蓄積されない為、バッテリー上がりの可能性が高まると憶えておいて下さい。
例えば、従来の液入りバッテリーではバッテリー上がりはしなかったのに、リチウムに交換したら上がる様になったなどという現象が起きたりする場合もありえますが、これはむしろ充電系の消耗によるものであると言えます。
上がらないにしても常時ギリギリ下限の電圧で使用しているとリチウムバッテリーは性能劣化や寿命が短くなったりする場合があります。
ちなみに、弊社でも扱っているMOSFET型のレギュレータ―は、制御効率の良さからジェネレーターで発生した電力を無駄にせず、アイドリング中の極低回転時でも常に13V以上を維持出来ますので、リチウムバッテリーの使用にも推奨しています。
実際、MOSFET型レギュレータ―とリチウムバッテリーをセットで使用されている車両でのバッテリー上がりトラブルは、従来型レギュレータ―で使用されている車両に比較すると経験上遥かに少ないのです。
これは、走行条件に関係無く、常に適正電圧に入っているというのが大きいのでしょう。