と言っても実は既にプロジェクトはスタートしています。
昨年HFバルブシリーズとして、既に耐摩耗性とフロー特性を高めた高機能バルブを発売しました。
現在はZ系のIN36mm,EX30mmのSTDサイズに加え、各1mmのオーバーサイズIN37mm,EX31mmもラインナップに追加しています。
又、耐摩耗性に優れる焼結合金性のバルブガイドも、既に多数の車両へのオーバーホール用として供給しています。
更に繋がる製品として目指すのはバルブスプリングです。
写真は空冷Z最強モデルのGpz1100用インナーシムバルブスプリングです。
ちなみに、1981年のZ1000J,R用のバルブスプリングとはインナー、アウター共に線径も材質も同じです。レートや密着迄の仕様の違いは、実は巻き数や自由長の長さを変える事で対応しています。これは、実績のある素材であったと言う事が大きいでしょう。
従って、Z系のバルブスプリングは、1981年以降2005年最終型のZ1000P迄、当時のバルブスプリング素材として主流であった、弁ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線(SWOSC-V)の同じもので製作されています。
それ自体がバルブスプリング材として決して問題のある物ではありませんし、我々を含んでですがZ1系へのチューニング時にZ1000JやGPzのものを流用する事は業界やチューナー間では広く行われています。
又、アフターマーケットのZ用バルブスプリングも、その多くがZがスプリントやドラッグレースの主役だった頃に設計やデビューをしたものが多く、これも大部分が1980年代迄でしょう。
ただ、バルブスプリングの素材は、オートバイはもちろんの事、4輪車も高回転化が高性能化が進んだ90年代と、更にエンジン自体の耐久性が飛躍的に伸びた2,000年代以降に素材や製法面において急激に進化をしています。
例えばですが、経験上数万kmを経たZのシリンダーヘッドを分解すると自由長にいくらかの縮みが生じており、新車時にバルブにかかっていた荷重は下がってしまいます。
ところが、2,000年を超える頃に新規設計されたカワサキエンジンは飛躍的にその寿命が延び、10万kmを走行したものを分解してもバルブスプリングにそれ程の変化は生じていません。
それどころか、乗用車に至っては100万km使っても基本的にバルブスプリング交換の不要なものが普通に出現する様になりました。
素材と製法の進化で、これ程の変化が出た例です。
例えばですがドライブチェーン。80年代にはZ系は630サイズという1個1個が巨大なコマのものを使用していましたが、現代では300馬力オーバーでメーター読み400km/hを超えるNinja H2Rが2サイズ細い525で市販走行しています。
Z系であれば更に細い520サイズが問題無く使える程、強度や耐久性が向上した事になります。
ドライブチェーン同様に鉄で作られているバルブスプリングは、見た目が変わらなくとも、素材や製法で大きくその性能や耐久性が向上する部品です。
実は1980年代以降大きく進化をしていないZのバルブスプリング、2018年の現代に使用可能な素材に製法、設計技術を使うと性能や耐久性面でどれだけ進化するか、興味ありませんか?