弊社が取り扱っているエンジンのガスケットの中では、シリンダーブロックを外さない限り交換される事がありませんので、数的には一番出荷数の少ないのがベースガスケットなのですが、自分が作ろうと思った時に最も欲しかった部分でもあります。
何せここからのオイル漏れを修理するには腰上全分解となるわけですので。
さて、密着性の良いカーボングラファイトを使用する事で耐オイル漏れに関しては非常に高い性能を持ち、又熱伝導性に関しても新車当時のアスベストや、その後登場したノンアスベストシートに対しても大きなアドバンテージがありますので、シリンダーブロックからクランクケースへの放熱性も良好になります。
ちなみに更に時代の進んだ空冷車両、ゼファー750の後期やゼファー1100ではシリンダーベースガスケットにはメタル素材が使用され、更に放熱性の向上が図られています。
一時弊社のZ系用ベースガスケットにもメタル素材をと考えたのですが、シリンダースタッドの位置によるガスケット形状や、長年分解組み立てを繰り返された事で付いているシリンダーブロック下面やケース上面の傷を考えると、現在のところ耐オイル漏れ特性を優先して採用を見送っています。メタルガスケットを使わんが為に上下面の面研を指定と言うわけにはいきませんので。
ただ、将来的にオイル漏れをシールする手段が確保出来れば、ベースガスケットのメタル化もあるかも知れませんね。