画像は実走テストの後、分解して状態をチェックしているZ2ヘッドの燃焼室です。
バルブとシートリングの状態を主に確認しているのですが、シートリングにはベリリウムカッパー合金を、バルブにはチタン合金製を使用しています。
このチタンバルブとベリリウムシートリングに共通しているのは材料からして「高価」という事で、チューニングの際でもそれほど一般化していない理由の一つだと思います。
次に高価でも使う理由は何か?という事ですが、チタンバルブは一般的な鉄やステンに比較して圧倒的に軽いという事です。そしてベリリウム合金を使用したシートリングはバルブガイドは鉄系と比較し熱伝導性に優れており、バルブを伝わり効率よく熱を伝えて逃がすというメリットがあります。またガイド材としてお馴染みのリン青銅やアルミ青銅も同じカッパー系の材料ですが、それらと比べて圧倒的な耐摩耗性を持っています。
また少々変わった話では、ある日産車の量産エンジンに使用されているチタンバルブは、軽さはもとよりバルブがシートリングに座る際の着座音を軽減する為に採用しているのだそうです。
ただし、チタン合金もベリリウム合金もその種類に幅があり、使途に対し適材とその加工方法が必要とされます。
チタンは軽いけど脆いとか、耐久性に乏しくストリートには向かない等、色々な話が飛び交っておりますが、実際に自分たちでテストした方が結果を見極めやすいわけです。上記の様に場合によっては数十万kmをOH無しで走行してしまう可能性もある4輪の量産車にチタンバルブが採用されている訳ですから、一概にチタンバルブ=耐久性に乏しいとは言えないとも思うワケでして。
画像上は大まかな形まで仕上がったベリリウム材を用いたシートリングとバルブガイド。
ベリリウム材をシートリングやバルブガイドに使用する事はチューニング時等において過去にもございましたが、チタンバルブに関しては、まだ使用実績に乏しい事やその製作コストからも中々一般的にはなりにくいかもしれません。
バルブガイドもベリリウムです。INバルブが黒光りしているのはDLC処理によるものです。バルブはDel West社に特注で製作して頂いた物。http://delwestengineering.com/parts-titanium-valves/
リテーナーもチタン材から削り出された後にチタンコートを施してあります。懸念していたインナーシムに負け偏摩耗した形跡もありません。
先日も長期テストの様子をご紹介致しましたが→http://www.pams-japan.com/diary/?p=8669
直ぐには仕事に結びつかない様なテストも地道に行っていますというお話でした。
現在J用ヘッドにベリリウムシートリングとガイドを打ち込んだ物を製作中で、完成したら弊社実験車両でもあるJのインジェクション仕様にヘッドのみ挿げ替えし変化がどう出るのかを見極める予定です。ノーマルエンジンにベリ製のガイドやシートリングを使うって中々無いですよね。笑