先日よりの豪雨で、四国より中国地方、本州迄の広範囲にかけて大規模な水害により冠水してしまったエリアが大変多い様です。
弊社のお客様のいらっしゃる場所でも、2輪4輪を問わず、かなりの高さ迄愛車が水に浸かってしまったというお話が何件かまいりまして、対処方法を聞かれたので、こちらからもお答えします。
まず、オートバイの場合は車両を水の中から出せたら、愛車のエンジンの無事を確かめたいが為に始動を試みたい気持ちがあるでしょうが、絶対にやらないでください。
セルモータークランキングはもちろん、キック始動も駄目です。
万が一、燃焼室内に水が浸入していたりすると、コンロッドが曲がったり、クランクシャフトの位相が捻じれてクランクが壊れます。
どうしても固着してないかを確かめたい場合はヘッド周りを洗浄してからプラグを取り外して、キック等人力でクランクを回し、圧縮がかからない様にします。
その場合、外したプラグから大量のオイルを注入し、プラグは外したまま回します。
又、冠水した電装はショートによる車両火災の可能性もありますので、スターターモーターは使わないでください。
出来ればバッテリーは外してしまった方がいいです。
とにかくフレームやエンジンを真水で洗浄してください。 泥や生活排水を含む川の中に混じった成分は鉄やアルミを錆させやすいです。フレームは袋になっていても内側に泥が残ってそこから腐食の可能性がありますので、流水で洗浄後に水を飛ばしてから油を吹き込んでやって下さい。
クランクケースのブローバイホース取り出し部分より高い位置に水が上がった場合は、ケース内への水混入の可能性もあります。その場合は、水をオイルごと抜き(水はオイルより重いので先に出てきます)その後は分解整備出来る環境が揃うまでの間、ケースの中をオイルで満たしてやるのがいいでしょう。
オイルは大量に、Zであればクランク軸やコンロッド大端部のメインベアリングがオイルに沈むレベルまで入れてしまってかまいません。それこそ、オイルフィラーキャップからオイルが見える迄です。
そこまで入れれば分解整備までの時間が空いてもクランクやクラッチハウジング、トランスミッションが錆で腐食して死んでしまう事態は避けられます。
ここまでが応急処置ですが、とにかく錆さえ進行させなければ時間をおいて落ち着いてからでも復活させる事は可能です。
まずは被災された地域の人々が少しでも早く日常を取り戻される事を願います。