手に持ったピストンは空冷Zではなく四輪の物なのですが、異変に気付いたでしょうか?
って、誰でも気づきますよね。笑
このポッカリと穴の開いたピストンですが、実に燃焼室側にもシリンダー壁にも全くダメージがありません。しかもピストン自体に溶けたり打痕等もなく、見た目にはトップに穴が開いただけの様に見えますね。ランド周辺に発生しがちばデトり痕も見受けられません。まるで何かで瞬間的に打ち抜いたかの様です。
あくまでも推察すですが、プラグの電極部分が溶け消失しているため、それがピストンに落下し精一杯頑張っていたピストンの熱境界ラインを一瞬で破り、溶融してしまったのではないかと。
しかしです。よく細部を観察してゆくと・・・
かなり深部までクラックが走っています。
リセス端にも穴。そしてリセス方向へも微細なクラックが確認できます。
ここにも。
そして、こんな所にもクラックが走っています。
ピストン裏から。
良く見ると、リセス端からトップリング溝に掛けてもクラックが走り、溝の上面に段差が出来ているのがわかります。拡大してみると、この周辺には僅かにデトった痕跡が認められます。
ポッカリと穴が開いただけの様に見えたピストンも、細部に目を凝らせば、高速で往復運動をしながら側圧と燃焼圧に耐え、そして熱とその他様々な応力が複雑に絡み合ったストレスを受けているとあらためて感じます。