酷い白煙を吹くとの事で入庫となったZ1です。
始動と同時に、特に1番からの白煙が目立ちます。プラグホールから覗いてみても、やはり1番ピストンの頭がベッタリとオイル付着が確認できます。
ヘッドを下すためにマフラーの取り外しに掛かりますが、1番エキマニ付け根付近にオイルが付着しています。
ヘッドカバーを開けて目視にてチェック。カムメタルの数か所に少々キツそうなアタリが見受けられますが、大きな問題は無さそうです。しかしカムラインチェックバーを通してみるとIN/EX共にかなり渋い回転抵抗。
ヘッドを下し顔を出したピストン。全体的にウェットですが、やはり1番ピストンにオイル侵入特有の焼け方とカーボンを確認。
上方からカムチェーントンネルを覗きます。チェーンスライダーが取り付けボルト根元で折損し、内部で暴れていた事が判明。ジャラジャラという異音の元はココかもしれません。因みに、この部品はシリンダーブロックを抜き取らない限り交換は出来ません。
折損したカムチェーンスライダー。この場所に留まってくれればまだ良いのですが、過去の事例から言ってこれが更に暴れた後に脱落し、カムチェーンとクランクギアの間に挟まったりするとかなり面倒な展開が予想されます。
単体になったヘッドにてカムラインのチェックを再度行いますが、やはりIN/EX共にかなりキツい摺動抵抗を示します。またカムホルダーボルト16本中6か所でトルク抜けを確認。カムホルダーのナンバリング部分の刻印の違いから、もしかするとカムホルダーが他のヘッドと入れ替わっている可能性もあります。
バルブを抜きスプリングその他も全て取り外します。
完全に硬化してしまい柔軟性を失ったステムシール。これではオイルをシールする事は厳しいでしょう。
常温で軽く押すだけでも、シリンダーライナーが抜け出してしまいます。
今日はここまで。明日は洗浄脱脂、各部の測定とヘッドのレッドチェックを行います。いずれにしても、このタイミングで腰上分解に踏み切ったオーナー様の決断は正しかったと思います。