Z1系が新車当時のシリンダーベースガスケットは現代では環境面から使用されなくなったアスベストを練り込み成形したもので、オイル漏れに対する耐性には優れる半面、長年使用するとアルミの母材に対して岸壁の岩に貼り付いたフジツボの如く容易には剥がせなくなります。
この、新車当時から初めて分解したエンジンも同様で、ベースガスケットを剥がすにも一苦労です。
何せ素材そのもの硬化している上に練り込まれているアスベストは容易には切れない鉱石成分ですので並みのスクレーパーでは歯が立たず、カッターの刃を使ってもみるみる切れ味が落ちますので、力をかけ過ぎてアルミ面迄傷を入れない様にせねばなりません。
更にこのアスベストガスケットですが、どうもアルミ母材に対しての攻撃性もある様で、なんとか剥がしても面腐食が起きている場合も結構あります。
現在Z系に使用されているガスケット素材のカーボングラファイトは、以前にも弊社のベースガスケットで紹介させていただきました通り、長年の使用でも硬化せず分解後に残ったガスケットも爪で擦るだけで除去出来るほど柔らかいものです。
又、アルミ面を腐食させることもありませんので、当時に比べると随分と作業性も良くなります。